生きづらさの基本的障害は対人的相互性の質的障害です。そのため,症状を 客観的・定量的に評価することは方法論的に難しいのです。当院では投影法も駆使して貴方の生きづらさの正体に迫ります。従来のWAIS, Baum test, CAARSPF studyに加えて、ロールシャッハ・テストと文章完成テスト (SCT)を考慮します。

 文章完成テスト (SCT)は、構造化されていない曖昧な刺激である未完成の文章を完成させ,そこに投影された個人的特性からパーソナリティなどを理解する検査です。SCTは、1897年、Ebbinghaus,H によって知的統合能力を測定する道具として開発されたものと言われています。 スコアリング(得点化)や数量的分析を重視しない精研式SCTを採用します。パーソナリティの把握にあたっては、刺激文に触発されて記された反応文、被検査者の言葉そのものを重視し、個々の反応文単独ではなく、反応文相互を重層的に重ね合わせながら共感的に了解していくことによって、パーソナリティの全体像を柔らかく再現し、記述する「内容分析・現象学的把握」という手法を用いて生きづらさに迫ります。

 ロールシャッハ・テスト(Rorschach test;RT)は,スイスの精神科医ロールシャッハが創案し、多義的な図形に対する反応から患者の人格の構造的側面,現実への適応の仕方,心理的状態や防衛・適応機制,自我の強さや病態水準などを把握する検査です。情緒面を中心に精神機能の質的側面について評価することが可能であり,生きづらさの基本的障害を捉えることができる可能性があります。 認知的側面における認知パターンの“安定性”や、情緒的側面に関して問題があった場合, 情緒が未成熟であるのか、情緒が未分化であるのかという点に着目し、生きづらさの正体に迫ります。

Hermann Rorschach 1884-1922